つわりにも入院が必要!?重症化した妊娠悪阻のキケン

つわり

待望の妊娠が判明し、喜びもつかの間、つわりがひどくて苦しんでいる方もいるのではないでしょうか?あまりにも体調が悪いと、「このままで大丈夫だろうか?」「病院に行ってもいいのかな?」と不安になってしまいますよね。

みなさんは、つわりが悪化すると妊娠悪阻(にんしんおそ)という病名がつき、入院が必要になる場合があるということをご存知ですか?

この記事では、妊娠悪阻についての基礎知識と、どういった治療が行われるのか、現在つわりがひどくて苦しんでいる方がどのようなタイミングで受診すべきであるのかをご紹介していきます。

妊娠悪阻の基礎知識

つわりと聞けば、誰しもがどんな状態であるかを想像できますが、妊娠悪阻は聞き慣れない言葉ですよね。まずは妊娠悪阻の基礎知識についてご紹介します。

つわりとは

つわりとは、妊娠によって起こる吐き気嘔吐など、消化器系の体調変化を中心とする症状のことをいいます。たくさんのママが経験するつわりの原因ですが、妊娠による

・ホルモン動態の変化

・代謝の変化

・精神的な影響

が関与していると考えられていますが、意外なことに現代の医学では原因が明らかになっていないのです。

時期については個人差が大きいですが、多くの場合は下記のように変化をしていきます。

妊娠5〜6週:症状の現れ始め

妊娠8〜10週:症状のピーク

妊娠12〜16週:症状が無くなり始める

妊娠悪阻とは

妊娠悪阻とは、つわりの症状がさらに悪化し、嘔吐を頻回に繰り返し、脱水飢餓状態体重減少などの症状が出現している状態を言います。

妊婦さん全体の1〜2%の人に起こり、空腹時に悪化しやすいつわりとは異なり症状は1日中続きます

妊娠悪阻へ進行する原因

妊娠悪阻の原因は、つわりと同様で明確にはされていませんが、

心理的ストレスがある

社会的ストレスがある

夫婦関係が良好でない

上記のような環境にいるママに多く発症すると言われています。

また、双子の妊娠妊娠高血圧症候群の経験がある場合、前回の妊娠で妊娠悪阻になった場合は再発の頻度が高いことがわかっています。

妊娠悪阻の症状や予防

つわりが重症化した妊娠悪阻。つわりは一過性だから我慢していれば「そのうち治るのでは?」と、軽く捉えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、妊娠悪阻の場合は放っておくと危険です。妊娠悪阻が、ママや赤ちゃんに一体どのような影響があるのかを、症状とともにご紹介します。

主な症状

症状としては、通常のつわりの症状に加え、

一日中続く頻回の嘔吐

食事摂取困難

数日で5%以上の体重減少

脱水・飢餓状態

尿中ケトン体が陽性になる

などの症状が現れます。

つわりよりも症状が激化しており、ママの健康状態に関わってくるのが特徴ですね。

つわりがひどく病院を受診した場合は、体重測定や問診のほか、尿検査をして尿中ケトン体の有無を調べるところからスタートします。

ケトン体とは

上記の症状で、尿中のケトン体の有無が関わってくることが分かりましたが、そもそもケトン体とは何なのでしょうか。

私たちの体は本来、食事を摂ることにより食べ物から糖分を取り込みエネルギーを作っています。しかし、食事摂取が不十分な状態が続くと食物からのエネルギー供給が間に合わず、体に蓄積されている脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。ケトン体はそれによって作り出された代わりのエネルギー源です。

そのため尿検査を行なって尿中ケトン体が陽性になるということは、食事が十分にとれていないということの指標になるのです。

そして、妊娠悪阻の診断ではこの尿中ケトン体の有無が重要視されることが多いです。

症状がさらに悪化すると

上記でご紹介した妊娠悪阻の症状ですが、ただのつわりの延長と侮ってはいけません

さらに悪化していくと実は、ママ自身に重大な後遺症を残すことがあるのです。

妊娠悪阻により嘔吐を繰り返すこと、栄養が不十分なことから、肝臓や腎臓の機能障害代謝のバランスの障害ビタミンB1の極端な不足状態に陥り、ウェルニッケ脳症という状態になることがあります。

ウェルニッケ脳症では、意識障害や小脳障害が起こり、一度進行すると症状は不可逆性になることがあり、健康状態が回復しない場合もあるのです。

赤ちゃんへのリスク

ここまで激しい症状が出現するとなると、「赤ちゃんは大丈夫なのかな」と心配になりますね。

基本的に妊娠初期の赤ちゃんはとても小さく、ママの食事摂取の状況に成長が左右されることはありません。普段からママが蓄えている栄養で十分成長することができるのです。

ですが、妊娠悪阻の症状があまりにも重症化する場合は、妊娠自体を中止しなければいけないこともあります。

そういった意味では、つわりの症状がひどい場合はひたすらに我慢をするのではなく、正しいタイミングで受診し適切な治療を受けることで、ママの命も赤ちゃんの命も守ることにつながるのです。

妊娠悪阻の治療について

ここからは妊娠悪阻になってしまった場合の治療方法についてご紹介します。

日常生活において行うとよい工夫や注意点はつわりへの対策と変わりませんが、妊娠悪阻では病院で治療を受ける必要があります。

入院

妊娠悪阻と診断された場合には基本的に入院安静が必要となります。

特に、家庭内の問題など心理的なストレスが原因と考えられる場合には、入院により周囲から隔離し心身の安静を保つだけで症状が快方に向かうこともあるのです。

それだけつわりや妊娠悪阻に、精神面の変化が与える影響は大きいと言われています。

食事療法

こちらは基本的につわりの時と変わりません。

食べられる好きなものを少量かつ頻回にわけて食べるようにします。吐き気や嘔吐が強く、食事摂取ができない場合は点滴での治療に切り替えます。

点滴療法

点滴治療では、主にブドウ糖輸液という、水分と糖分が入ったものを使用します。症状によって差はありますが、1日1〜3ℓを点滴で補います。

また先に説明したウェルニッケ脳症の予防にはビタミンB1の補給が必須となり、同時にビタミンの入った点滴を実施します。

点滴を行うとその安心感から、「症状が楽になった」と話すママは多くいます。

薬剤による治療

制吐薬と呼ばれる嘔吐を抑える効果のある内服薬を使用します。

この治療法については、赤ちゃんへの影響も考慮し、必要最小限で行われることが多いです。

人工妊娠中絶

以上の治療を行っても効果がなく、発熱や肝障害の指標である黄疸意識障害など、ママの全身状態の悪化が著しい場合はこの方法が検討されることがあります。

まさか妊娠悪阻?受診すべき症状とは

ママの健康や赤ちゃんの命を守るためにも、「つわりだから」と我慢をせず、症状がひどい場合は受診して適切な治療を受けましょう。

ここでは「妊娠悪阻かも」と不安なあなたに、受診すべき症状をご紹介します。迷って判断ができない場合は、まずはかかりつけの産院に相談してみましょう。

妊娠悪阻の症状

以下の症状が見られる場合は、妊娠悪阻に進行している可能性が高いです。

一つでも当てはまったら産院に相談もしくは受診をしてください!

・水すらも吐いてしまい、何も口にできない

めまい頭痛がする

・数日で5%以上の体重減少がある

・嘔吐したものに、緑色の胆汁血液が混じっている

・トイレに行っても尿が出ない

日常生活が送れない状態である

当てはまるものはありましたか?

この時期は妊婦健診が4週間に一度であることが多く、多くのママが「これくらいで…」と受診に後ろめたさを感じるようです。

ですが、妊娠悪阻はママと赤ちゃんの双方にリスクがあります。これらの症状がある場合は勇気を出してまずは産院に電話をしてみてくださいね。

まとめ

あまりにもつわりの症状がひどいと不安になってしまうのは自然なことです。症状には個人差があるので「みんな我慢しているから」無理をする必要はありません

また、精神状態の変化はつわりや妊娠悪阻の症状に大きな影響を与えます

気の持ちようで体調が大きく変化するわけではありませんが、なるべくストレスを溜めずにリラックスして過ごすことで、妊娠初期のみならず、のちのマタニティライフを快適に過ごすことにつながります。

自分にとって何がストレスなのかを理解し、可能な限りその要因を無くせるよう、ご家族と協力して過ごせるといいですね。

受診のタイミングを見逃さず、自分自身と赤ちゃんの健康を守りましょう。

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