5人に1人が帝王切開? 4つのケースで分かる帝王切開分娩の基礎知識

帝王切開分娩

この言葉にどのようなイメージを持っていますか?

「帝王切開=自然に下から産めない/生命の危険/怖い」というような漠然としたマイナスイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。

厚生労働省平成26年の統計情報によると5人1人が帝王切開分娩で出産をしています。割合は年々高まっていて、産まれてくる赤ちゃんの約20%が帝王切開で出産されているのです。この数字は多いでしょうか、少ないのでしょうか。

答えを出す前に、まずは帝王切開分娩がどのようなものか、そしてどのようなケースで選択され、手術が進められるのかといった知識を整理してみましょう。

帝王切開分娩について

一口で「帝王切開分娩」といっても、

予定帝王切開分娩

緊急帝王切開分娩2つがあります。

ここでは分娩方法がどういうものかということを踏まえながら、どのようなケースで帝王切開分娩が選択されるのかを説明していきます。

帝王切開分娩とはどんなもの?

経腟分娩赤ちゃんが産道を通り、腟から産まれること

帝王切開分娩ママの腹部と子宮を切開して、直接赤ちゃんを取り出す出産方法のこと

「帝王切開分娩」とは、ママか赤ちゃんのどちらかに何らかの問題が生じ、経腟分娩が難しいと判断された場合に選択される分娩方法です。

予定帝王切開分娩

通常は36~37週健診結果をもとに、経腟分娩が難しいと判断された場合に行われる帝王切開分娩です。

あらかじめ分娩日(手術日)が決まるということで「予定」と呼ばれ、38週ごろに行われます。

主なケース

・高齢出産であり初産婦

・前回の出産が帝王切開分娩

・双子以上の妊娠

・子宮筋腫や子宮の手術を受けたことがある

・さかご(骨盤位)

・赤ちゃんの発育不良

・赤ちゃんに病気や何らかの懸念がある

などの場合はこちらの分娩方法が選択される可能性があります。

緊急帝王切開分娩

お産の途中出産直前決まるのがこの緊急帝王切開分娩です。

こちらの分娩方法が選択されるケースもさまざまなので、大きく3つのケースに分けて説明します。どのような場合であっても、ママと赤ちゃんのことを一番に考えた上での選択ということですね。

問題が起きた場合

お産中にママあるいは赤ちゃんの状態に予期せぬ問題が起き、緊急的に赤ちゃんを取り出す必要がある場合です。

ほんの一例ですが、下記のような場合は帝王切開分娩に切り替えられる事があります。

・破水後子宮内に雑菌が入った可能性がある

・赤ちゃんが産まれる前に胎盤がはがれてしまう(常位胎盤早期剝離)

・子宮が破裂する兆候がみられる(子宮破裂)

・へその緒が先に下がる、あるいは出てしまう(臍帯下垂臍帯脱出)

さかごの場合

赤ちゃんは通常、大きくて重い頭を下にした頭位(とうい)という姿勢に落ち着きます。妊娠27週頃までは赤ちゃんも小さく、ママのお腹の羊水量も多いため、赤ちゃんが自分で回転を繰り返しますが、自然と骨盤位から頭位に戻るのです。

この時期までに一時的なさかごを経験するママは2,3人1人というよくあることなのです。

ところが、頭位に戻らないまま35週以降になると、ママの羊水量が減り、赤ちゃんも大きくなるため元に戻ることが難しくなります。出産間近になってもさかごが直らない場合、母子の安全のために予定帝王切開分娩となることがほとんどです。

しかし、さかごの場合でも母子の健康状態などを考慮した上で経腟分娩が行われることもあり、その分娩途中で、赤ちゃんとママの状態が悪くなってきた場合には、帝王切開分娩に切り替えられます。

微弱陣痛の場合

文字通り陣痛が弱く、赤ちゃんを産み出すための強い本陣痛が起きない場合です。子宮口の開き方や陣痛の持続時間・間隔を測定することで判断されます。

子宮口がある程度開いている場合は通常陣痛促進剤が使われますが、陣痛促進剤があまり効かない場合、一刻を争うような危険な場合は緊急帝王切開分娩に切り替わります。

お産が長時間進まないと、ママの体力をかなり消耗してしまうだけでなく、赤ちゃん自身にもストレスがかかってしまうためです。

手術の流れ

予定緊急によって事前準備や切開方法が変わってきますが、手術の全体的な流れは

麻酔 → 消毒 → 腹壁切開 → 子宮切開 → 胎児娩出 → 胎盤娩出 → 子宮筋の縫合 → 腹壁縫合

の順番となります。

予定帝王切開分娩の場合は少なくとも前日には入院し、説明を受けた後で同意書の提出や麻酔科医の診察があり、21時以降は絶食になります。

緊急帝王切開分娩の場合は一刻も早く赤ちゃんを取り出す必要があるため、説明だけで手術ということもあるようです。

ここからは手術における麻酔、切開、縫合について説明していきます。

麻酔

手術室へ移動後、麻酔を行います。麻酔には・全身麻酔・腰椎麻酔・硬膜外麻酔3種類があり、必要に応じて使い分けられます。

全身麻酔

点滴に入れるためすぐに麻酔にかかります。そのため緊急時には全身麻酔になることがありますが、母体同様赤ちゃんも眠ってしまうことがあるため産声を聞くことはできません

腰椎麻酔(ようついますい)

背中から細い針を使って専用の麻酔薬を注入し「お腹の痛みは感じないが意識はある」といった状態を作り出します。麻酔の持続時間は比較的短く、麻酔薬の直接的な影響が胎児に及ばない利点があり、赤ちゃんの産声も聞く事ができます

 硬膜外麻酔(こうまくがいますい)

腰椎麻酔と併用して使うことがあります。即効性があり、持続時間が短い腰椎麻酔に比べて硬膜外麻酔は持続性があり、長時間の手術も可能です。こちらもママの意識はあるため、赤ちゃんの産声も聞く事ができます

下腹部の切開

帝王切開分娩ではおなかの皮膚の切り方が2通りあります。お医者さんの考え方、ママや赤ちゃんの状態、手術の緊急度などにより決定されます。

・皮膚を縦に切る(縦切開

へその下から恥骨に向かってメスを入れる方法です。皮膚から腹膜までは縦に切りますが、子宮壁は横に切ります。特徴としては手術時間が短く、赤ちゃんを早く安全に取り出せることから緊急時には縦切開になります。

 ・皮膚を横に切る(横切開

縦切開よりも傷の痛みは少なく、傷が目立ちにくいという美容的な利点もあり、最近では一般的に行われている切開法です。皮膚から筋膜までを横に切り、その下の腹膜は縦に切り、子宮壁は再び横に切ります。このようなプロセスのため縦切開と比べて時間がかかりますので、トラブルの可能性が低い予定帝王切開分娩の場合に選択されます。

娩出から縫合

子宮の下部をメスで横に切開し、卵膜を破って破水させてから、赤ちゃんを子宮内から取り出し、へその緒を切ります。手術開始からここまでわずか約5〜10分程度。その後、胎盤を取り出し、子宮内をきれいにしたあとで縫合します。子宮の縫合には溶ける糸を使いますが、皮膚の縫合方法は2通りあります。

医療用のステープラー

「ホチキス」のような医療用ステープラーです。帝王切開分娩で最も多いのがこの縫合方法で、短時間で済むほか、針を抜くときも痛みをあまり感じません。

 

通常の抜歯が必要な縫合方法の他に、傷跡が目立たないよう表皮より下を溶ける糸で縫い表皮はテープで留めるだけの縫合方法があります。

こちらは傷跡が目立ちにくい反面、縫合には時間がかかります。美容外科的な真皮埋没縫合と呼ばれる方法です。

帝王切開分娩手術30分〜1時間程度で終了となります。

まとめ

近年帝王切開の割合が増えている理由には、

・医療技術が進歩し、選択肢の一つとして選ばれるようになったこと

・帝王切開によるママと赤ちゃんのリスクの軽減

などが挙げられます。

帝王切開の件数が増加しているのは危険なお産が増えているということでは決してありません。経腟分娩だと危険を伴う場合に、医師の判断で安全に出産をさせるために帝王切開分娩という選択がなされるのです。

冒頭の5人1人という数字の裏にはたくさんのママと産まれた赤ちゃんの命があります。

今回は帝王切開に関する基礎知識をまとめましたが、ママの気持ちの部分や実際の入退院の流れ手術費用など、具体的な内容については次の記事でご紹介していきますので、より理解を深めてもらえたらと思います。

妊娠中の経過が良好でも、帝王切開分娩になることは誰にでもあり得ることです。いざという時に慌てることのないよう正しい知識を身に着けておくことは、出産準備のひとつでもあります。もしも帝王切開での出産となった場合も慌てずに、病院や家族と協力して臨んでいきましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする